福岡の博多にて「システマ」道場に、体験入門として練習に参加させて頂きました。
本記事はそのレポート的な内容となっており、感想や考察などを交えつつ図解・イラスト満載でまとめてみましたよ。
システマに興味を持っている方、または何かしら武術をやってみたいと思っている方など、参考にしていただけることでしょう。

ちなみに「システマはどういった武術なの?」と疑問を持たれている方は以下の記事を参考にされてください。
基本的な情報について網羅的に書いています。


福岡のシステマ道場【体験レポート】
このたび体験をさせて頂いたシステマの練習は、福岡市博多区にあるアミューズメント施設・パピオのスタジオにて2021年12月11日に行われました。
この道場の概要・予定などは以下のブログに詳しく書かれています。
参加された方々は10代~60代くらいまで幅広く、年配の方・女性・子供もいて老若男女で多種多様でした。



皆さま気さくに話してくださり、非常に打ち解けやすい雰囲気でしたよ。
なお練習内容すべてを書くと膨大になってしまうので、印象に残ったもの5つほどに絞っております。
システマ体験①【姿勢の確認】


直立の姿勢とは?
というところからレクチャーを受けました。
それは足の中心から頭のてっぺんまで真っ直ぐに軸が出来ている状態。
しかしまっすぐ立ったままでは本当にそれがまっすぐ立てているのかわかりにくいので前後左右に揺れてみます。



言うなれば… 失って始めて気づく恋人の温もり 転んで始めて気づくコンクリートの固さ 揺れてみて始めて気づく本当の直立姿勢 というわけです
次に重心を前後に揺らしつつ、前に一歩出てみます。
出ようとして出るのではなく、重心移動に合わせて自然に足を踏み出すイメージ。
その感覚を掴めたら、連続して足を前に出し続ける…つまり「歩く」ということ。
最初に行った自然にまっすぐ立っている感覚というのを大事にしながら歩きます。
練習生同士でぶつからないようにしながら、所狭しと縦横無尽に行き来しました。



姿勢というのはあらゆる武術・武道・格闘技に共通して基本かつ最重要項目といって間違いないでしょう。
そういった意味でも、この基本ワークから始まるのは納得のいく思いです。
システマ体験②【拳立て】


パートナーの手のひらに拳を突き立て、拳立てを行うワークを行いました。
拳と手のひらをうまくフィットさせる意識
が大事になります。
まるで吸盤で吸い付いているように接点を調和させる必要があるんですね。
でないとバランスも悪く、痛みを伴います。



何となく行うと、拳を支えている手のひらが非常に痛いのです
ところが先生のいいつけ通り、呼吸を合わせてフィッティング(拳と手のひらをフィットさせること)していれば楽になる感覚があります。
シンプルな練習でありながら、システマという武術の真髄に迫る何たるかが詰まっているような…そんな印象を受けました。
システマ体験③【腕相撲】


腕相撲のセオリーとしては、当然のことながら腕力を総動員しますよね。
しかし、システマの身体操作法では
肩・肘・腕を完全脱力します。
重要なのは手のひらで、相手の手のひらと調和=フィッティングさせるのです。



このフィッティングというのが理屈で説明するのが難しいのですが、手と手を吸盤のように吸い付かせるイメージでしょうか。
肩肘に全く力を入れず(文字通り全く!)腕を軽く伸ばしたまま、フィッティングした手だけで相手を操るようにします。
するとどういうわけか、背中の力をダイレクトに手のひらに伝えられるようになるのです。
要するに腕力では、より筋肉の大きい背筋力には絶対勝てません。だから楽に勝つことができるのだそう。



そんなバカな…と思うかもしれませんが、先生はそれをいとも簡単にやってのけます。
私もコツを教えて頂いた後はパワーの相手に勝つことができました。うーん人体って不思議。
まだまだ常識の外に誰も知らない身体操作法があるのかもしれません。
そう考えるとワクワクしますね。
システマ体験④【1対3の攻防】


実戦と言えば対複数戦を想定せずにはいられません。
3人に囲まれた状態で、打撃を受けつつもうまく脱力して衝撃を逃します。



刃牙でいうところのシャオリーみたいな感じかな?



そうだね。(知らんけど)
格闘マンガの金字塔である「刃牙」の技の中にシャオリー(消力)というものがありました。
ペラペラの紙に強力な打撃を当ててもフワッとしていて手応えがありません。イメージ的にはあんな感じ。
打撃を避けようとするのではなく「うまく体をいなして衝撃を逃がす」という表現が合っている気がします。


慣れてきたら衝撃を逃がすと同時に反撃を行います。
当てられたエネルギーをそのままパンチという形に変えて打撃を放つのです。



反撃という言い方は適さないかもしれませんね。もらった衝撃を反撃という形で力を逃がす…って感じ?(ややこしい)
慣れないと3人による攻撃でどんどん体が流されてしまいます。
しかし先生をはじめとした熟練の方々は、一定のバランスと位置関係を保ったまま、うまく身をこなしているように見えました。
攻撃側の気づき「一斉攻撃は意外と難しい」
自分が攻撃する側での気付きとして、意外と的確に攻撃を入れるのが難しいという点でした。
というのも三人同時に攻撃を放つので動きが干渉し合うのです。呼吸が合わないと有効打は打てないものだなあ…と。
例えば、他の人の攻撃で標的の体が流れたりします。そこに意図せぬタイミングで自分の打撃が当たったりする。だからクリーンヒットしにくい。
練習の趣旨とはずれるかもしれませんが思わぬ気づきでした。



刃牙にも一度に攻撃できるのは4人まで…という話があったよね。



そうだね。(また刃牙かい)
4人どころか3人でも息を合わせるのは難しいとは…。
これは1対1で行う格闘競技では気づき得ない点だなと感じました。
システマ体験⑤【対ナイフ】


相手がナイフを突き刺してきたケースを想定し、約束組手のように反復練習を行います。(ナイフはもちろん本物ではありません)


ナイフが触れる寸前で体を回転させて半身になります。
しかし体を回しすぎて相手からそっぽを向いてはいけません。何故なら背後をとられたり、逆の手で掴まれて滅多刺し…ということもあるからですね。


ナイフの横・平たい部分を手と体で挟みます。
そのまま再び向き直ることで、ナイフを握る手を放させることができるんです。


要するに握力だけでは体全体を回す力に敵わない…ということですね。
この動きを極めれば、あるいはナイフの相手に対抗できる力が身につくのかもしれません。
そんな簡単なものではないでしょうが、システマは戦場で生まれた武術なので説得力があります。



ちなみに、以下はシステマの達人として名高いヴラデミア・ヴァシリエフ氏の動画ですよ。



突っ込むだけ野暮というか、考えるだけ無駄というか、結局はお前次第というか
ただシステマのコンセプトは相手を打ち負かすこととはちょっと異なります。
リラックス法であったり、より脱力するためのヒントを与えてくれる知識の泉であったり、日常生活をより良く生きるための知恵であったりするわけなんです。
ルーツを辿れば旧ソビエト連邦で秘匿とされていた殺人術に行き着くのは確か。
しかし長年の時を超え、現在では殺人ではなく活人の技として語り継がれているんですね。
目からウロコなシステマの身体操作法に興味は尽きませんでした。是非また参加させて頂きたいと思います。






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